非住宅建築こそ、木造を選ぶ理由がある ―「中高層等JAS構造材実証支援事業」追加公募のお知らせ

なぜ非住宅建築では木造がまだ少ないのか
オフィスビル、店舗、倉庫、工場、福祉施設――。
私たちの身のまわりにある非住宅建築物の多くは、今も鉄骨造や鉄筋コンクリート造が主流です。
住宅分野では木造率が高い水準を維持している一方、非住宅分野における木造化はまだ限定的なのが実情です。
理由としてよく挙げられるのが、
「中高層や大規模建築では木造は構造的に難しいのでは」
「コストが読みにくい」
といった漠然としたイメージです。
しかし、JAS構造材(日本農林規格に適合した構造用木材)の性能・信頼性が向上し、設計・施工のノウハウも着実に蓄積されてきた今、こうしたイメージは実態と乖離しつつあります。むしろ、非住宅建築にこそ木造化のメリットが大きく現れる場面が数多くあります。
木造化がもたらす2つの大きなメリット
1. LCA評価の向上、脱炭素への貢献
建築物の環境負荷を評価する際、近年ますます重視されているのがLCA(ライフサイクルアセスメント)の視点です。木材は成長過程で二酸化炭素を吸収・固定しており、建築物として利用し続けている間、その炭素を建物の中に長期間留め置くことができます。鉄やコンクリートと比較して製造時の環境負荷が小さいことも広く知られている通りです。
企業のESG経営やSDGsへの取り組みが評価される時代において、「木造で建てる」という選択そのものが、脱炭素経営の姿勢を対外的に示す有効な手段になります。テナント企業や利用者に対しても、環境配慮型の建築物としての付加価値を訴求できる点は見逃せません。
2. 構造重量の軽減による基礎工事費の圧縮
木造建築のもう一つの大きな利点が、建物自体の重量が軽くなることです。上部構造が軽量になれば、それを支える基礎に必要な耐力も小さくて済み、結果として基礎工事にかかる費用を抑えられる可能性があります。
地盤条件によっては、鉄骨造やRC造であれば杭基礎や大掛かりな地盤改良が必要になるケースでも、木造化によって基礎仕様をシンプルにできることがあります。建築コスト全体を見たとき、構造材そのものの単価だけでなく、基礎を含めたトータルコストで比較検討する視点が重要です。
中高層・大規模木造には手厚い支援制度がある
こうした木造化のメリットを後押しするため、令和8年度「中高層等JAS構造材実証支援事業」の追加公募が実施されています。
対象となるのは、3階建て以上、または延床面積300㎡超の非住宅建築物です。4階建て以上をはじめとする中高層建築物における地域材利用拡大を目的として、JAS構造材の調達費の一部が助成されます。
追加公募の主なスケジュール
- 募集期間:令和8年7月21日(火)~ 8月7日(金)17時まで(地域木材団体必着)
- 助成金交付申請の締切:令和8年11月30日(月)必着
- 中高層(4階建て以上)建築物の締切:令和8年12月10日(木)必着
- 申請書の提出先:申請物件が所在する都道府県の地域木材団体
なお、事業要件や申請様式は昨年度から改正されています。応募にあたっては、必ず今年度版の公募要領・事業説明資料・申請様式をご確認の上、記載漏れのないようご準備ください。工期との兼ね合いもありますので、締切日には特にご注意いただければと思います。
詳細は「中高層等JAS構造材実証支援事業」の公式ページにて公開されておりますので、そちらもあわせてご確認ください。
もっと木造を選択肢に
非住宅建築物における木造化は、環境価値の向上とコスト構造の合理化という、企業経営にとって現実的なメリットをもたらす選択です。そこに今回のような公的支援制度が加われば、これまで木造を検討してこなかった中高層・大規模建築物においても、木造という選択肢がより現実味を帯びてきます。私たち後藤木材株式会社は、地域材とJAS構造材の可能性を、これからも建築に関わる皆さまにお伝えしてまいります。
次の建築計画では、ぜひ「木造」という選択肢を検討してみませんか。
もっと木造を、当たり前の選択肢に。


工場を木造で建設した事例