明治22年創業 木のプロフェッショナル 【解説!木造にする理由】木造はコストパフォーマンスが高い |木のある暮らしコラム|後藤木材株式会社

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【解説!木造にする理由】木造はコストパフォーマンスが高い

木造はコストパフォーマンスが高い

木造で住宅などの小規模建築(~300㎡程度)を建てると、木造と鉄骨造と鉄筋コンクリート造と比較しても木造が最も低コストに済みます。
在来軸組工法や枠組壁工法(ツーバイフォー工法)などの工法や、材料や金物、プレカット加工も一般流通しており、入手が容易です。
施工も地域の工務店や職人ができるので、コストも納期も抑えることができます。

非住宅の場合、固定資産税にも有利で、他の工法に比べて減価償却期間が短いので、1年あたりにあげる経費が大きくなり節税になる場合があります。
結果として小規模建築は木造で建てるのが一番コストパフォーマンスが向上します。
 
  
   
一方で大空間・大スパンが求められる中大規模建築(500㎡~)では、どうでしょうか。
中大規模木造は鉄骨造や鉄筋コンクリート造よりもコスト高だと言われます。
固定荷重や積載荷重も大きくなり、応力も大きくなることから、構造材が大断面などの特殊材になるケースが増えます。
特殊材を使用する場合は、コストも上がります。調達にも時間がかかります。
求められる大空間・大スパンに特殊な工法を選択した場合、対応できる材料や施工業者が限定的になるため、コストも時間もかかるようです。
木造で中大規模建築は難しいのでしょうか。
 

中大規模木造でコストを抑えるために重要な考え方

中大規模の建築物も、木造住宅で一般流通している材料や工法のようにつくること。
一般流通材や規格材を活用し、プレカット工場がプレカット加工が可能な継ぎ手や仕口、一般的な接合金物を採用し、複雑な加工を必要としない現場施工であることが有効です。
そう考えた時に中高層は困難ですが、3階以下の低層建築物なら、住宅用の一般流通材を使って中大規模木造を安価につくることが出来ます。
また、中大規模木造の建物には、スパンの大きな空間があります。例えば保育園の遊戯室はスパンが12m程度。
住宅用の一般流通材は長さが限られています。でも一般流通材を用いて大空間・大スパンをつくることは可能ですし、標準化された工法なので地域の工務店が住宅を建てるのと同じようにつくることが出来ます。

 

中大規模木造でコストを抑えるために押さえるべきポイント

具体的にコストを抑えて木造大空間・大スパンを実現するには構造計画の際に、木造にとってコストメリットが高い規模を選択することです。
そのポイントを抑えましょう。

 

<コストパフォーマンスに有利な規模>

高さ

  • 高さ13m以下かつ軒高さ9m以下

階数

  • 3階以下

面積

  • 500㎡以内  (1の壁 構造規定※1)
  • 1,000㎡以内 (2の壁 防火規定※2)
  • 3,000㎡以内 (3の壁 構造制限※3)

<構造計画する建築物のスパン>

 

  • 梁スパン6mまで 

住宅用の一般流通材である4m、または6m材を中心に計画することが重要です。
この程度であれば一般的なプレカット機械による加工が可能で、構造材や加工コストも経済的になります。
現実的には、4mまたは6mスパン以上、梁を飛ばすこともあります。
そうした時には、トラス構造にすることで、一般流通材を用いながら10m・20m・30mといった大スパンをつくることができます。

注意書き
※1 建築基準法の構造規定により、高さ13m以下かつ軒の高さ9m以下で500㎡以内の建築物であれば構造安全性の確認方法が容易になります。500㎡を超えると構造計算が求められます。
※2 建築基準法の防火規定により、延べ面積が1,000㎡を超える建築物は、1,000㎡以内ごとに防火区画が求められます。ただし、耐火建築物や準耐火建築物とすれば防火区画は求められません。
※3 建築基準法の大規模建築の構造制限により、高さ13m超え、軒高9m超え又は延べ面積3,000㎡超える場合、主要構造部「壁、柱、はり」を木造としてはならない。 と求められています。ただし大断面集成材が認められるようになりました。